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タイは国でファシリテーターを育てている [2005年09月12日(Mon)]

タイは国でファシリテーターを育てている [2005年09月12日(Mon)]

昨年8月に、タイの東部のプリチンブリー県プラチャンタカーム郡に、ビデオの撮影に行った時に聞いた話である。
この時の撮影は、開発教材として、日本で研修を受けたタイ人の方が、タイに戻って、どうやって、地域で合意形成をしていってるのかという部分の撮影である。今日は、5月に研修生として日本に来た人を集め、学んだことを、おさらいすることで、自分のものにしていくというワークショップを行った。
日本での研修では、モデルとなった自治体のファシリテーターが、進行役となって、ワークショップを20日間行ったが、今回は、研修にも同行したタイの内務省地方行政局の方が、ファシリテーターを務めた。
ファシリテーターとは、会議をうまく進める、進行役のような人で、会議を進行させるだけでなく、参加者の意見を引き出し、合意を形成することを促進する人で、ワークショップなどで活躍します。
昼の一時から、プラチャンタカーム郡の集会所に、日本で研修を受けた15人が、次々とやってくる。前の集会が長引いて遅れている人もいるが、定刻を少し過ぎて、ワークショップがスタートした。
2つのグループに別れ、ファシリテータの進行にしたがって、ポストイットに、書き込み、それを模造紙に貼り付けるなどの作業をし、学んだことを纏め上げ、さらに、新しい学びを深めていく。
それにしても、手馴れているというか、見事なファシリテーションだった。
住民主体のまちづくりを実践した町の日本の行政マンは、その見事なファシリテーションにおどろしていた。そして、タイの内務省の人に、このような、ファシリテーターは、たくさんいるのかと聞くと、たくさんいると即答された。
タイの内務省の地方自治を推進する部署では、二年前から、各県ごとに8名のファシリテーターを育てているそうだ。
1997年に憲法を改正して、地方自治を推進していくために、合意形成を進めていくための一環として、ファシリテーターという人材も育成していたのだ。
日本では、住民参加型のまちづくりということで、多くのワークショップが開かれたり、ここ数年、ファシリテーターという役割がビジネス分野でも注目され、いくつかの協会などができ、ファシリテーターを学ぶ人が増えたが、国レベルで育成することを取り組んでいるわけではない。
タイの地方自治への取り組み、住民主体の地域コミュニティづくりは、真剣に取り組まれているという事を感じた。
そうすることによって、小さな行政を実現しようとしている。
省庁を再編することで、小さな政府を実現する方法もあるが。本当の意味での自治体となることや、住民による公益活動により、無理のないかたちで、きめ細かな対応が出来た上に、小さな政府の実現が可能となるだろう。

[CANPAN blog STILL ALIVE より]

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