食の大切さ [2005年10月21日(Fri)]

先日、東洋大学でゲスト講師として、約300人の学生の前で「創造論」の授業をしたのだが。その中で、多くの学生から質問があったのは「どのようにして、創造性を養ったのか」というものだった。
人それぞれ、創造性を養う方法は違うのだが。私は、この4点が、創造性を養うことに役立ったのではと思っている。
それは「体験すること」「人の話を聞くこと(人と出会うこと)」「面白いことを見つけること」そして最後に「おいしい食事をすること」である。
意外かもしれないが、この「おいしい食事をすること」というのは、創造性において大きな意味合いがある。
身近な創造性豊かな人をみていると、かならずと言っていいほど、食いしん坊か、食にこだわっている人が多い。もしくは、どんな貧乏飯でも、楽しく、おいしそうに食べている。
これは、一般的に創造的と言われている芸術分野などだけではなく、スポーツなどにも言えているようだ。
たとえば、サッカーでは、現日本代表監督のジーコ監督が、鹿島アントラーズに来たとき、選手たちのあまりの食の貧しさを見て、ジャンクフードを食べることを嗜めたことがあった。
そして、2002年ワールドカップの時の日本代表監督のトルシエ氏も、選手たちの食事をみて、これでは、クリエイティブなサッカーができないということで。合宿時において、従来のビュッフェ形式の食事を廃止したという。ビュッフェ方式では、安易に好きなものだけを、好きなだけ食べることができるため、栄養の偏りもさることながら。安易に食べられることで、味わって食べるということがおろそかになり、それが、創造性を欠く要因となっているというのだ。
講義も終わり、学生とともに、大学の近くのファミレスで晩飯を食べていたときも、この食の話で盛り上がった。
昼間は働き、夜に大学に通う二部の学生ということで、働きながら感じる、体験をもとにした話が出てくるから面白い。
ある学生の上司は、昼食は、いつも、コンビニのパンを一人で頬張っているそうだ。そこで、この学生に聞いてみた。
「もしかすると、その上司って、やたらカリカリしていない。そして、その割りに肝心なことが抜けていたりするって事がない?」
あまりにも、図星だったようで、その学生はオオウケしている。
ほんとうに、こういう人って多いのよね。
また、こういうのも困るパターン。
OLなどに多いのだが、みんなで、同じところで食べるのだが、時には、いろんなおいしい店にも行くのだが。いつも仕事の愚痴や悪口だらけで、せっかくの料理も、おいしさ半減。だからといって、この集団から抜けることは難しい。
このしがらみから抜けられなくて、困っている人ってとても多い。
そして、結果として、おいしくない食事をしたために、午後の仕事の効率が上がらないということにも・・・・
以前、ある料理人が言っていたのだが、おいしい食事において、食材や料理は、3割の要因でしかない。残りの7割をどうするのかで、いいお店かどうかが決まってくる。というようなのだそうだ。
ある学生は、いろいろなことに興味をもっていて、食に対する追求が強いのだが、いまひとつ、身近な人に評価されにくい事が多い。
今回、このファミレスで、飲み物は、ドリンクバーを頼んだのだが。この学生は、ジュースを複数混ぜたり、ジュースと紅茶を混ぜてみたり。エスプレッソメーカーの特性を見て、機械に設定されていない、ホットミルクを頂いたりと様々な工夫をしていたのだ。
確かに、ファミレスという、いわゆるジャンクな食事とはいえ、自分なりにおいしく食事をする工夫がそこにある。これこそが、創造性なんですよね。
バブル期以降、グルメという言葉の元に、食へのこだわりを持つ人が増えたが。スペックや薀蓄におぼれ、カタログやグルメ記事を食べているかのような人が増えており。ごたわった食事を頂く人が増えた割りに、本当においしく食事をしている人が増えていないように感じています。
たとえ、ひとつひとつが、かならずしも高品質なものでなくても、おいしく食べる工夫をし、食べることを楽しむことこそが「おいしい食事をすること」なのだと思う。
食欲の秋、芸術の秋、そして、スポーツの秋ともいうが、ぜひともおいしい食事を心がけることで、楽しく創造的な生活を過ごしたいものである。

[CANPAN blog STILL ALIVE より]