仮設住宅はいらない [2006年06月01日(Thu)]

ジャワ中部地震の報道で、国連の注目出来る判断があった。
それは「仮設住宅を建てない」というものだ。
「えっ」と思うかも知れないが。豪雪地帯の中越地震のケースは仕方ないと思うが。避難所や仮設住宅、そして、復興住宅へ住まわせることは、地域コミュニティを破壊しかねないし。地域コミュニティが破壊されると、自力での復興が難しくなるというデメリットがあるのだ。
阪神大震災の場合は特に最悪で、公平さを重視したため、仮設住宅へ入るには、申込者であり、しかもくじ引きで決まった。しかも、山奥や埋め立て地など僻地に住むことになった。
その後、復興住宅が建ったわけだが。優先順位があるものの、やはり、申込者や、くじ引きで決められた。
自分の住んでいた所の近くの公園に、どうしても、家の近くが良いと居座った人は、本人の意志と関係なく撤去され。もし移るとしたら、まあここだろうという希望の所に住めないということがあった。
その結果どうなったかというと、顧客が遠くに行ってしまった上、目立つ大型店などに客をとられ、街の小さな商店がお客さんが減ったために経営難になり、街に活気が無くなったり。
もっと酷いことでは、孤独死をする老人が相次いだ。
しかも、仮設住宅、復興住宅の建設は、特需となり、その特需に対応するため、他の地域の人の力を借りて行われたため、復興に掛けた資金が、地元に落ちない。
さらに、工事が終わった後は、お金を持っている労働者達は引き上げてしまい、崩壊した地域コミュニティと、そのおかげで崩壊した地域経済が取り残されてしまう。
最近の話しでは。友人の志葉玲くんが、昨年の12月に津波後1年経ったインドネシアのバンダアチェに行ったときも。仮設住宅に行かずに、壊れた自分の家の所に戻ってきて、テント暮らしをする人がいるということを言っていた。
いくら破壊されたとしても、自分たちが暮らしていた場所が、一番落ち着くんだと思うんですよね。これは、なんとなくわかります。
それなのに、災害で破壊されて、たくさん死んでしまって、もう誰もいないから、諦めて、もっといい所に住もうよと言われたって。
住み慣れていない所に行ったって、心が落ち着かないですよね。
瓦礫の下に埋まっているだろう、屍と共に暮らした方が、まだ心が落ち着くと思うんですよね。
そんなことを考えると。
あわてて「仮設住宅」を建てるのではなく。まずはテント暮らしで生活を取り戻し。
ゆっくり、本人が納得したり、コミュニティの合意を得て、復興住宅に住むなら、住むということにした方が。心の問題もカバー出来るし。コミュニティの崩壊も防げる。
コミュニティの崩壊が防げると言うことは、早く復興出来る要素が一つ増えるということでもある。
さらに、地域の文化を無視した、仮設住宅、復興住宅の建設は、地域の文化をないがしろにするケースもある。
今回の、国連の方針は、とても評価出来ると思う。

——————-以下引用———————–

ジャワ島中部地震:10万棟が全半壊 「仮設」作らず当面テント--国連・NGO方針
 ◇再建意欲そがないよう

【バントゥル(インドネシア・ジャワ島中部)岩崎日出雄】約10万棟が全半壊したジャワ島中部地震で、現地で支援活動を展開する国連機関や国際NGO(非政府組織)が被災者に仮設住宅を提供しない方針を固めたことが31日分かった。04年末のインド洋大津波で国連などが被災者に多数の仮設住宅を提供したが、そのことが「被災者の自力再建意欲をそいだ」との見方が背景にある。しかし自力再建には長期間かかることが予想され、被災者のテント暮らしが長引く可能性もある。

被災地で国連機関や国際NGO計約50団体の支援活動を統括・調整する国連機関幹部は毎日新聞に「今回は仮設住宅を提供しない。仮設住宅は被災者を自宅跡から引き離すことになり、被災者は自宅再建意欲を失う」と説明した。

また「仮設住宅ではなくテントを提供する。被災者は自宅跡近くに住み、自力で再建の努力をすることが望ましい」と話した。

被害が最も大きいジョクジャカルタ特別州バントゥル県のイダム・サマウィ知事は毎日新聞に、「被害状況を調査後、直ちに(仮設ではなく)一般住宅を建設し、被災者に提供したい」と表明。インドネシア政府はまだ住宅支援方針を決めていないが、国連機関幹部は「政府による被災者の生活再建支援に包括的に協力する」と話し、一般住宅の提供には前向きな姿勢を示した。

◇雨漏り・浸水に悩まされ、仮設待つ被災者も

インドネシア国家災害対策調整庁によると、地震による建物被害は▽全壊4万4668棟▽半壊5万2705棟▽一部損壊6万8310棟など。約20万人が避難生活を送り、主にテント暮らしのため雨漏りや浸水に悩まされている。バントゥル県でテント生活を送る主婦スリニンシさん(32)は「資金がなくすぐには自宅を再建できない。雨漏りの心配のない所へ早く移りたい」と仮設住宅を心待ちにしている。

インド洋大津波の被災地アチェ州では、国連やNGOが多数の仮設住宅を提供した。ただ、一般住宅は12万棟の建設計画に対し、被災後1年で約1万6200棟しか提供できていない。今回も一般住宅提供までに長期間かかれば、長いテント生活による被災者の疲弊が懸念される。

毎日新聞 2006年5月31日 東京夕刊

http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/asia/indonesia/news/20060531dde007030055000c.html