京都で修学旅行に思う [2006年10月03日(Tue)]

10/1から10/7までの一週間。京都の町屋を改造したアートスペース「エイコンズビレッジ」というところでタイウィークが行われています。今日はその第一日目。私の監督した作品「STELL ALIVE」の上映の前に、タイのドキュメンタリー「デック 子供たちは海を見る」を上映しました。
この「デック 子供たちは海を見る」は、チェンマイ県にあるメートーというところの学校のお話です。この学校は、カレン族、リス族、モン族など様々な山岳少数民族が通う学校で。少数民族は、学校まで場合によっては100キロ以上の山道を通わないといけないということもあり、寮が完備された小学校・中学校です。
この学校のウリといったらなんですが、この学校のハイライトは、卒業する前に、海を見に行くという修学旅行を行うということです。
チェンマイは、海から700キロ以上内陸にあり、そこからさらに山奥に行ったところに住んでいる山岳少数民族の人たちにとっては、こういう機会がないと海は一生見ることがない。
とにかくとにかくお金がないから、農家の手伝いをして資金を稼いだり、修学旅行中の食事は自炊だったりします。
そして、子供たちは、初めて出会った海ではしゃぎます。(このあたり英語のタイトル名となっている部分ですね。)
この作品を見ると、日本の修学旅行って、なんなんだろうと改めて感じてしまいます。
今回の上映を行ったのは、修学旅行の西の横綱の京都です。全国から修学旅行生がやってきて。最近では、グループ自由行動はタクシーを一日チャーターしたりしているそうです。
タクシーは移動手段として、時間を有効に使い、ロスなく多くを回るために有利な交通機関ですし。観光ガイドとしても優秀なタクシードライバーもたくさんいらっしゃいます。だから、多くの場所を回り、たくさんの知識を得るにはとても有効で。しかも、車に乗ると、視野が狭くなるので、いらない店に気を取られにくいというオマケも含めて、管理がしやすいというメリットもある。でも、これって、修学旅行の集団で取り組むという目的を達成していないきがするんですよね。効率はいいけど、何か大切なものを忘れてしまっているような気がしてなりません。
京都はまだいいのですが、修学旅行の東の横綱は東京で、こちらは、東京ディズニーランドが目玉だったりします。そんなの修学旅行でなくても、将来行く人は行くし。地方の学校の生徒でも、修学旅行の前に既に行っている人もいると思います。また、就職すると、東京勤務ということもありえるわけで。
地方の時代だといいつつも、東京の一極集中が起こっている状態での東京への修学旅行の意味づけが難しくなっている気がします。
この映画に出てくるような修学旅行は、貧困の問題から発生しているという面もありますが。一方では、貧しくとも地方経済がそれなりに自立している状態があるからこそ、成り立つ面があるのではないかと思います。
地方が自立していれば、一生その土地から離れずに暮らす人も多くなるわけで、だからこそ、修学旅行として遠くに行くことに価値が出てくる。
個人的な想いとしては、新幹線や飛行機も使わない方がいいような気もしています。できれば、町の郊外しか走らない高速道路をとおらない、できればバイパスも使わない方がいい。
それは、距離感と町や人の繋がりがマヒするからです。このリアリティのなさが、ヒトやモノそしてカネを大切にするという感覚をマヒさせ。結果として、自分というヒトが大切にされないという事として返ってくるわけです。
だから、なるべく、人の営みが見えるところを旅してほしい。
時間をかけて、地べたを這って行くことで、国土が繋がっていることが実感できます。そして、いろんな町を通ることで、そこに住んでいる人たちの存在を感じることができます。
そうすることで、いろんなことに優しくなれるような気がするんですよね。
そのほかに、船に乗るのもいいでしょう。
海は世界と繋がっています。バナナは、どのようにして日本に届いているのか。普段、回転寿司で食べているものは、どのようにして食卓に届いているのか。日本は輸出で食っているというけど、どのようにして作ったものが世界中に届くのか。などなど、グローバル社会の実情をイメージするのに、船旅はいいと思います。
よく平和に向けてのイベントなどで歌われるジョンレノンの「イマジン」という歌には、「想像してごらん」という問いかけが何回も出てきます。しかし、ある程度経験がないと「想像する」ことは難しい。「想像してごらん」といわれても、「想像する」力がないと、「想像する」ことで平和にすることは困難となる。
そんなことも含めて、「想像する」ための経験をする機会のとして修学旅行をもっと活用すべきだと思います。
「デック 子供たちは海を見る」は、日本は豊かなのかもしれないけど、何か、大切なものを忘れてしまっているということへの「気づき」のある作品です。
「デック 子供たちは海を見る」は、10/3までの上映ですが、アンコールがあれば10/4.6の昼間に上映するようです。興味のある方は、エイコンズビレッジに連絡してみてください。

「デック」の上映のあとに、シンガーソングライターの阿部ひろ江さんのミニライブがありました。

タイの山の民芸品とタイの海の民芸品の両方が飾られ、素晴らしい雰囲気の中でのライブ

10/7まで、まだまだいろんなイベントが続きますので、ぜひご覧ください。

あ、私の撮影・監督した作品も上映されました。この話は、後日。

[CANPAN blog STILL ALIVE より]