カカオの国と日本 [2008年02月01日(Fri)]

月と言えば節分の次の大きなイベントがバレンタインデーです。
日本ではバレンタインデーということでチョコレートを贈る習慣があるわけですが、そのチョコレートのお話です。

すいぶん前に記事を書いたのですが、お友達が、バレンタインデーのチョコレートを、フェアトレードチョコレートにしようという動きがあります。
それは、カカオの生産において、児童就労など、相当ひどい人権問題があったことが背景なのですが。その人権問題どのようにして発生したのかをひも解くと、実はいま日本は何かのきっかけでとても恐ろしい状態になってしまうという可能性があることがわかるのです。

チョコレートの真実
著者:キャロル・オフ
出版社:英治出版 価格:¥ 1,890

この本には、コートジボアールという西アフリカの国での事例などが載っているのですが。
この事例が、ガソリン国会とか言って騒いでいる日本と共通する何かを感じるわけです。

コートジボアールでは、子供たちをタダで使い、しかも教育をさせないという状態で強制労働をさせているという事が起こっているわけですが。かつては、カカオで国を豊かにしようとしていたわけです。

1960年にフランスから独立したコートジボアールは、強いリーダーシップを持った政治家が表れて、国づくりを進めました。
そして、国が豊かで、安定するようなしくみとして、輸出産業であるカカオの生産を支えるために、安定化公庫(CAISTAB)を設立します。これは、カカオ相場が下がっても生産者に最低限の買い取り価格を保障するものでしたが。そのうち、カカオの利益を担保にして、外国から多額の借金をして、大規模な道路建設や、ハコモノにお金をつぎ込みました。

カカオの値段が安定していた時は、それでも問題なかったわけですが。1989年にカカオの価格が大暴落して、コートジボアールの経済がめちゃくちゃになりました。経済破綻をしてしまいました。

ここまでの話って、日本となにか似てる要素があるんです。
第二次大戦後の復興期に、強いリーダーシップをもった政治家があらわれて、国を豊かにする仕組みを作るわけです。
これが、最近話題のガソリンに掛かる税金です。
道路特定財源は、憲法に引っかかるということで、できる前は、大反対があったのだそうですが、田中角栄さんがうまく説得して、国会を通して成立しました。
そして、道路をたくさんつくりました。

日本が豊かになるさなかの昭和36年(1961年)に国民年金法が施行され、昭和61年(1986年)に強制化されました。
そこで、集まったお金があまりにも大きいので、それを使って、いろんなものを作りました。

給料の増えた国民は、郵便局や銀行にお金を預け。その大量のお金は、企業活動や公共投資などに使われました。

経済の成長が著しい時はそれでよかったのですが。
日本が豊かになり、必要なものがそろったのか、成長の速度が減退し、実際は低成長時代になりましたが。経済は成長しないわけにいかないため、いわゆるバブル経済となり、いろんな危険な投資などに、おカネを使いました。
そして、バブルがはじけ。いろんなところで大きな損失を作りました。

日本は、その損失を隠すためにいろんなことをして、それが、財政の赤字を莫大に膨らませました。
コートジボアールの場合は、ドカンとそのまま破綻をしたわけですが。
日本の場合は、悪あがきをした分、赤字額を増やしながら生きながらえているわけです。

そうなると、どうなるかというと。IMFなど、世界の機関から、国営企業は売却、民営化しろ。医療費は自己負担。教育の予算を削れ。と要求されます。

日本は、コートジボアールのように、IMFから構造調整プログラムを課せられることはないわけですが。実際には、改革という名のもとに、コートジボアールと同じように、国営企業は売却、民営化しろ。医療費は自己負担。教育の予算を削れと要求されたわけです。

そして、結果として、日本も、コートジボアールも、食料を海外に依存する結果となります。
また、その国の産業は、いきなり厳しい国際競争にさらされることに。

このあたりが、いまの日本の状況なのですが。
コートジボアールは、20世紀終盤には、世界の最貧国のひとつになり、カカオの生産者は貧困にあえぎます。
そして、少しでもコストを下げようとするわけですが。
そのうち目を付けたのが「奴隷制」なんです。

人身売買を使って、近隣の国から「儲かる仕事がある」といって子供を含めた労働者を買い集め、朝から晩まで、食事もろくに与えられず働き、人身売買業者に支払ったお金を返すまでは、無給で働かす。もちろん子どもには教育を受けさせてもらえないし、病気になっても医者に連れて行ってもらえません。
何年も、そういう働き方をしていると、人間性が失われて社会に適応できないようになってしまう。

今の日本には、途上国を中心に、外国人労働者がたくさん来ています。中には人身売買をされてくる人もいますが。そうでない人も、「儲かる仕事がある」とさそわれて、合法にしろ違法にしろ、ブローカーにお金を払って日本に来て、日本で自らの稼いだお金でお金を返している人たちがたくさんいます。
これって、コートジボアールのように雇用主が払うのか、日本のように労働者が払うのかは違いますが、よく似ています。
最近の日本では、研修という名のもとに、事実上拘束して、低賃金で働かせているケースもあり、問題になっています。

そして、日本では、日本人も過酷な労働の後に、人間性が失われて社会に適応できないようになってしまう人が多くいます。おかげで自殺者も世界トップクラスです。

日本は、一見、コートジボアールのように人身売買や児童就労ということにはなってはいませんが、実質的には破たん後のコートジボアールと共通点が多くみられます。

コートジボアールでは、いろんな問題を抱えながら、フェアトレードによるカカオ生産が進みつつあるようです。
それに対して、日本は無策としか言いようがありません。

なぜ無策なのかというと、日本は事実上破たんしているということを隠し続けているから、対策が立てられないのです。

でも、いつかはバレます。

そのとき、フェアトレードの知恵が生きてくると信じています。

わたしにとってフェアトレードは、先進国から貧しい国にお金を送る仕組みというより、人として人らしく働ける状況を取り戻す仕組みを実践者から知るしくみではないかと感じでいんです。

残念ながら、フェアトレードの流通はとても弱く。コーヒーの流通量の中で0.2%と言われているぐらい、微々たるものでしかありません。とても、困っている人のほとんどの人権や環境を守れているとは思えません。しかも、輸送コストもばかになりません。
それに対し、フェアトレードの商品や関連の印刷物の多くは、生産者がどのような取り組みをしているかが記されています。
実践者の情報の共有というのが、フェアトレードの本質なのではないかという気がしています。
いい品物を楽しみながら、学べる。これって、いいですよね。

[CANPAN blog STILL ALIVE より]