ゆとり世代のネーミングと特徴がずれている [2008年04月01日(Tue)]

4月1日はというと、エプリルフールの他に、新年度の始まりで、新しい仲間を迎える日でもあります。
今年は、いわゆる「ゆとり世代」が、本格的に就職し出したということで、人事などビジネス向け媒体にその対策などの記事が掲載され出しました。
「ゆとり世代」というのは、一般には「ゆとり教育」を受けた世代のことを指していますが、様々な説があって、どの世代なのかは定かではない。
とはいえ、これらの世代に対し、ここ2.3年、新人研修で戸惑うケースが多いと受け止められているようです。
そんなことで、日経ビジネスオンラインには、池谷 聡 さんによる「ゆとり世代との付き合い方」という連載が始まりました。
その記事を読んでいて、再認識したのが「ゆとり世代」という言葉と行動のギャップです。

池谷さんは、第一回目の記事の中で、ゆとり世代の特徴を以下のように挙げています。

・失敗を極端に恐れ、間違いのない答えを求める
・自分から動き出せない
・まじめで、言われたことはきちんとやる
・ある一面では非常に優秀な能力を持っている

これは、私も実感として感じるものでもあるのですが、一方では、「生きる力」を目指して実施された「ゆとり教育」のイメージとはかけ離れたものとも感じるのである。
いったい、「ゆとり教育」では何をしてきたのでしょうかって思ってしまう。
逆に、上記の傾向は「詰め込み型」の結果のようにも見えるから不思議だ。

私の推論ですが・・・
上記の傾向というのは、もっと古くからあって、それに対して、「ゆとり教育」が試されたが、成果が出なかったのではないかという気がします。

何故かというと、10年前に既に同様の傾向に気が付いていたからです。
当時はイベント屋という仕事もやっていたので、キャンペーンガールを扱う機会が多かったのですが。今から丁度10年前に女子小学生高学年から中学生向けのイベントをやっていた時に気が付いたんです。
まず、キャンペーンガールが、自分で考えて行動しなくなった。
基本的には、言われたことだけすればいいわけですが。何が起こるかわからないイベントの仕事では、目的を理解し、自分で行動をする必要がある。
たとえば、チラシを配るということひとつでも、指示通りに動くだけでは、効果的にチラシを受け取ってもらえないわけです。キャンペーンガールのひとりひとりに個性があり、かならずしも決められた方法で配布しても効果が上がらない場合がある。
この問題に対し、それまでは、配りながら自分で工夫して、効果的な配布方法を自分で編み出していたのですが。
この時から、1人1人指示をしなくてはならない事が多くなった。
一方で、イベントに参加していた、小学校高学年から中学生の女の子たちは、会場の係員の指示に素直に従った。わたしなら理不尽と思ってしまうような指示に対して、全くの疑問をもたず、素直に聞き入れてくれたのです。おかげで、整理列もうまく行き、混乱なく済みました。
とはいえ、子どもは言うことを聞かないと思っていただけに、少し拍子抜けだった。

今になって考えると、このとき既に上記の傾向があったのではないかと思われます。
もしかすると、ロストジェネレーションと言われる世代に対し、企業が若者の採用活動を控えていたために、その傾向に気が付かなかった可能性もあります。

次に、ゆとり教育の成果が出なかったということについてですが。
ゆたり教育が本格的に始まったのは、「ゆとり」を重視した学習指導要領を導入した平成8年(1996年)からで。平成14年度(2002年)から全部改正されたものが実施された。
主な内容は「生きる力」を目指して

・学習内容、授業時数の削減
・完全学校週5日制の実施
・「総合的な学習の時間」の新設
・「絶対評価」の導入

などが行われました。
その後、2004年に、OECD生徒の学習到達度調査の結果が発表され、日本の点数低下が問題となり、去年「教育再生」ということで、事実上「ゆとり教育」が終わってしまいました。

このOECD生徒の学習到達度調査の当時の報告書を手に入れたのですが、日本が他国より成績が悪かったのは「○○リテラシー」と言われるものが多かったんですよね。
つまり、知識など学習で得たものを、実際の生活などに活かす能力が足りないということです。
ですので、点数が低迷したのは、単純に読み書きソロバンの能力が落ちたからそうなったわけではないようなんです。
「○○リテラシー」ってものを、高めようとしたら、総合的学習のようなことをして、実社会と学んだことを結ぶ教育の必要性を感じるべきなのですが。結局は、時間が少なかったからとか、そういう事であっという間に片づけられてしまった。
そんなことで、ゆとり教育は、短期間で成果の出せぬまま事実上終わってしまったとも言えるので、上記のいわゆる「ゆとり世代」の傾向は、「総合的な学習の時間」が原因とは、言いにくいのではないかと思う。

「ゆとり教育」が、いわゆる「ゆとり世代」に影響したのは、授業時数の削減や、絶対評価により、短期間で結果を求めたり、短時間で教え込むために管理を強化したとが影響を与えたと考えた方がすっきりする。

とはいえ、10年前に比べて、最近感じるのは、自分がいかに苦労せずに、他人の求めている問題に対して答えを導き出すかという事に長けている若者が多い。

また、子どもの傾向というのは、学校教育だけで考えることは、ちょいと無理がある。
子どもは、親や社会を見て育つわけだから、社会環境からも考えてみる必要がある。

もう一度、いわゆる「ゆとり世代」の特徴を列挙してみよう。

・失敗を極端に恐れ、間違いのない答えを求める
・自分から動き出せない
・まじめで、言われたことはきちんとやる
・ある一面では非常に優秀な能力を持っている

これって、極度の成果主義のために萎縮してしまった人とか、リスクに対して過敏になっている人の姿にも見える。

バブルが崩壊して低成長社会になり、日本企業の多くは、四半期毎に結果を出さないといけなくなった上に、リスクマネージメントの名の下にリスクを冒すことをやりたがらないようになった。
社内に目を向けると、成果主義という名の実質給料カットが行われていたわけで。給料カットから免れるための行動と、いわゆる「ゆとり世代」の特徴とが妙に似ている。

子どもは親の背中を見て育つと言うが、いわゆる「ゆとり世代」の特徴は、もしかすると、日本型成果主義の副作用が世代を重ねた結果なのかも知れない。

そんなことで、ここ最近の新卒者の傾向を「ゆとり教育」のせいにしてしまうのは、いかがなもんだと思う。

企業が利益を出しているのに、給料が上がらない理由は、グローバル企業が外国で稼いでいる一方で、日本国内が元気がないから評価出来ないから給料が上がらないからと言われています。
日本を元気にしようとするならば、最悪でも生きていけるというような安心出来る環境づくりと、総合的学習的な学習方法で効果が出るだけの基礎学力、答えを自分考えて出せる力、自分で動く力という「生きる力」とか「○○リテラシー」に注目し育成する必要があると思います。

いわゆる「ゆとり世代」の特徴は、就職氷河期を過ぎて、段階の世代がリタイヤしたため企業の採用活動が活発化したことで、従来あった傾向が顕在化した可能性があると思う。

就職氷河期の時は、一部の優秀な者さえ良ければ良かったかも知れないが、少子化が今後進むと考えるとすれば。
ゆとり教育の反動で出てきた、「夜スペ」など、一部の子だけを伸ばし他はどうでも良いというような風潮は、トータルとしてみれば将来の日本を弱体化を招くと思う。

トップを伸ばすことも大切だが、それより今の日本はボトムアップをする事が大切だと思う。

余談ですが・・・
ここんところの、リスクに怯える社会の中で、ちょいと前に気を吐いてリスクを冒して伸びてきたのが、いわゆるIT業界だったのですが。
その象徴の1つが、就職氷河期世代でもあるホリエモンで。社名に「オン・ザ・エッジ」と名付けたりと、リスク覚悟で動いているフシがあるが。
ホリエモンの身の回りの大人がどんな人か知らないが、世代的にはホリエモンは少年期にバブルを経験しているわけで、親たち大人が目の前でバブルを経験している姿を見ていたのかも知れない。
日本のいわゆるIT企業やベンチャー企業があまり出てこない理由は、投資家がリスクばかり気にして投資をしないという事以外の原因として、バブルの記憶による一点豪華的な幼稚なお金持ち信仰があったのではないかと考えています。
本当のベンチャー企業を育成しようとするならば、失敗しても再チャレンジ出来るなど、ちゃんとやれば失敗しても不安がない状態を作る必要があると思う。

[CANPAN blog STILL ALIVE より]