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都賀川と呼ぶからピント来ない [2008年07月28日(Mon)]

都賀川と呼ぶからピント来ない [2008年07月28日(Mon)]

神戸市灘区を流れる、都賀川が急に増水したため4人が亡くなった。
しかも、若い女性と幼い命を奪った。

私は、いまから15年ほど前、神戸市灘区の出版社で働いていて、その寮が大石川の近くにあった。そのため、都賀川というより、大石川と呼ぶ方に慣れている。
大石川というのは、今回の事故があった都賀川の下流域の別称なのですが。
都賀川というより、大石川と言った方が、災害が起きにくかったのではないかという気がしてなりません。

神戸市の東灘区、灘区など、六甲山の南側は、急な傾斜地で、危ない川が多い地域です。
都賀川から東に2キロぐらいいったところに「石屋川」という川が流れています。
この「石屋川」は、「石が矢のように流れてくる」ので「石屋川」と言うと子供の頃に教わりました。
今回の都賀川の急な増水と、全く似た状況です。

今回の事故で注目したいのは「大石」という地名です。
都賀川の下流域を、「大石川」と呼び、阪神電鉄の駅名となっている「大石」という地名があるわけですが。
「大石」という地名の多くは、大きな石があったということから、名付けられています。
とかも川の名前として「大石川」と名付けられていたということはは、上流から大きな石が流れてきていたという事を表していて。普段は水量が少ない川ですが、時には大きな石が流れてくるだけの激しい水量になる事を意味していたと思います。

この急流は、酒蔵の精米工場の動力源としての水車を動かし、人力では出来ない精米を実現したことが、灘を酒所にしたそうで。大石川の脇には「沢の鶴」の酒蔵がある。

いまでこそ、神戸では、阪神大震災の前の年の兵庫区の水害ぐらいしか、大きな水害が起きていませんが、かつては、大きな水害が幾度と無く襲っていたそうです。
そのため、人々は、堤防を築くのですが、すぐに川底に土砂が埋まり、また堤防を嵩上げするということを繰り返したために、天井川と呼ばれる、川の堤が高くなり、水面がまわりの家より高くなるという事になりました。

JR神戸線は、芦屋川と住吉川の下をトンネルでくぐっているのですが、それは、都賀川と平行して流れる、芦屋川と住吉川が天井川だからです。ちなみに、石屋川も天井川で、かつては、国鉄が下をトンネルでくぐっていました。
その一方に、阪神電鉄は、堤の高い天井川の上か堤に駅を置くことで、下り坂を利用して加速し、上り坂を利用して減速するようにしていて。100年以上前の古い性能の電車を効率よく運行するために利用していました。

都賀川の様子がテレビで流されていて気が付いた人もいると思いますが。
都賀川の両岸は、コンクリートの平らな場所があります。
これは、増水したときのために、氾濫原を広くとっています。

このような努力のおかげで、神戸ではここ最近は水害が少なくなっているわけですが。
それだけに、川の恐ろしさが、伝わらなかったのが、今回の事故の原因だと思います。
せめて「大石川」と言っていれば、カンのいい人ならこの川は危ないと意識すると思います。

お亡くなりになった方のご冥福をお祈りします。

[CANPAN blog STILL ALIVE より]

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