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高知県に行ってみた

高知県に行ってみた

以前、ある研究者から科研費が通ったら高知県のある町で研究をするので、その時は手伝ってと言われたことがあったのですが。結果としては通らず。それ以来、ずーっと気になって仕方がなかったので、ふらっと高知県に行ってきました。

高知県は、南海トラフ地震が起きたとき、津波による大きな被害が予想されています。
ツナミクラフトは、手仕事などを通じて災害後の心のケアとか復興のお手伝いをしていますが。その経験が、しなやかに柔軟に対応できる強さというような意味の「レジリエンス」のある減災とか災害救援をする仕組みに役立つのではないかという事でした。
科研費のための下調べにも、通るか通らないかハッキリしないのに、持ち出しでの経費がかかり。ツナミクラフトに負担をかけたくないという研究者の方の配慮もあって、高知県のある町に下見に行けてませんでした。
なので、災害という事を意識して初めて高知県を伺う事となりました。

まず、県庁所在地の高知市に行ってみた。
高知市は、30年以上前に行ったっきりでした。当時、高知って海のイメージがあるけど、高知市の市街地は海に近いという印象があった。その理由は、高知の中心地から太平洋方面を見ると、丘と言うか、ちょっとした山があるからでした。
しかし、実際はそんなに海抜があるわけではないようです。
市内中心地は海から5キロ内陸にありますが。市内の海抜を示す標識は一桁メートルと書かれています。
電車道を伊野方面に中心地から西にしばらく行ったところに「津波浸水想定区間ここまで」という看板があり驚きました。つまり、実際に大津波が来ると県庁周辺が浸水する可能性があるという事です。
東日本大震災での宮城県では、県庁所在地の仙台市は津波で浸水しましたが、災害時に災害対策の中心となる県庁の周りは全く浸水しませんでした。
しかし、高知県の場合、ハザードマップを見ると、県庁の周りは0.3m-1mの浸水が予想されています。ということは、自動車が道路を塞いでしまい、県庁が孤立する可能性があるという事です。
自動車は、0.5m以上の浸水で、車が浮いたり、パワーウィンドウ付きの車では車の中に閉じ込められたりして、車とともに流され非常に危険な状態となるそうです。つまり、コントロールを失った自動車が無造作に道路上に散乱した状態になる。なので、県庁に要人が緊急に駆け付ける事が難しいかもしれません。
たぶん、高知県はなんらかの対策をしているとは思いますが、少しびっくりしました。

安芸市方面も気になったのですが、反対側の西の方に向かいました。

須崎市を通過するとき、コンビニの駐車場に救命ボートがあるのに気が付きました。

この救命ボードは、大阪のメーカーが開発したもので、津波が想定される地域の一部のセブンイレブンに試験的に配備されています。
このコンビニは、平坦な土地にあり。しかも、地震が発生してから津波が到達するまでの時間が短いと予想されています。右に別のコンビニから避難場所までの移動時間の目安が書かれているのですが。いずれも、10分から17分となっていて。地震が一旦収まって、さあ、避難場所まで移動しようと判断して、移動を始めたとして。場合によっては、避難場所に着くまでに津波が到達してしまう可能性があります。

この救命艇は、25人乗りで、衝撃に強いボディ、転覆をしても復元性のある構造で。中には、衝撃を吸収する椅子、ヘッドレスト、シートベルトがついていて。床下には1週間分の食料や水を備蓄し。船の前部にはトイレが付いているそうです。また、救援信号の発信機もあり。海上で目立つオレンジ色をしています。天井部は、ヘリからの救出がしやすいように平らになっています。

25人と、決してたくさんの人は乗れませんが、たまたまコンビニにいたお客さんと店員さんは全員乗れそうです。
こういう装備があるとイザという時心強いです。
購入するとメンテナンスとかがオーナーの責任になってくるのですが。セブンイレブンの場合、リース契約になっているそうです。そうなると、リース元がメンテナンスをするので、設置する方は楽ですよね。よく出来たシステムです。

さらに西に走って、黒潮町に入りました。
なにやら青いものがひらひらとしているので車を停めました。

鯉のぼりではなく「カツオのぼり」でした。

高知県は、カツオが名産。
鯉のぼりの端午の節句の時期は、江戸では初鰹の時期と重なるので丁度良いのかもしれません。
初鰹は、春から初夏にかけ、黒潮にのって太平洋岸を北上するかつおの事を指し。東京近辺では、5月から6月となり。特にその中の初物については、ゲンを担いで挙って食べようとしたそうです。

さらに南西に走って、土佐清水まで行こうと思ったのですが。日が暮れそうだったので、土佐西甫大規模公園という所で折り返す事にしました。

ここでは、太平洋上にクジラが泳いでいるのが見えるとか。
ホエールウォッチングもやっているようでした。時間がある時にもう一度来て、実際に見てみたいと思いました。

高知県は、室戸岬と足摺岬との間が弧を描いたようになっているので、地図からのイメージでは、砂浜が多く、平野も広いように見えるのですが。実際に行ってみると、山と海が迫っていてビックリしました。こういう地形は、津波がせり上がり易く、高いところまで津波が来やすい。要注意です。
また、平野が小さいので、埋め立てて土地を広くした所もあり。そこも浸水の危険性が高いと感じました。

一方、自然の恵みが豊か。
川を覗くと、小さな魚がいっぱいいました。最近流行の池の水を抜いて生物を調査するテレビ番組の影響で、息子が魚を見て「あれは在来種だ」と叫んでいました。
自然の恵みをもたらす一方で、時々牙を剥く自然と生活をどう折り合いをつけ。
災害が起きたとしても、なるべく早く、普段の暮らしに戻れるようにするのにはどのようにするのか。
この地域は、それらについてどのように考えているのか?
いろいろ気になる所が増えた旅でした。

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