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タイ南部の児童養護施設と日本の児童養護施設との違い

タイ南部の児童養護施設と日本の児童養護施設との違い

あくまでも、日本にしろタイにしろサンプルが少なく、参加者がたまたま出会った施設の比較の話ですが、スタディツアーの参加者から今回訪問した児童養護施設と日本の児童養護施設の違いや共通点の話が興味深かったので紹介します。

外から大学生などが訪問すると子どもたちがまとわりついてくるというのは、日本もタイも変わらないそうですが、タイの方がまとわりついてくる年齢層が広いそうです。タイに比べて日本の方が低い年齢で大人にまとわりついてくることがなくなる。
なぜそうなのかはわかりませんが、日本では、はやいうちに自分を押さえるようになるのではないかと思われます。

この施設特有なのかもしれませんが、タイの施設の方が圧倒的に広い。
日本は狭い所に寄せ集められている感があるのに、そういうことがなく広々としている。

外とゆるく繋がってる感がある。
これもこの施設特有のものかもしれませんが、児童養護施設内にて夕方になると地域住民がエアロビクスをしにきたりと、地域に開放されている感がある。収容されているという感覚は全くない。

自由。
行事に参加したくない人は参加しなくても良い。
これまた、この施設特有なのかもしれませんし、行事の内容によるのかと思いますが、参加しない子どもたちがいても誰も叱りません。
カボチャのカービングをしていた少年がいたのですが、交流会に参加せず黙々と作業をしていました。職員は「サマタをしている」と言ってました。上座部仏教での止観の修行だからそちらを優先させたのかと。
その他にも、内容によってはゲームに参加しない子どももいました。
また、施設内にはいろんな植物があるので、草花の蜜を吸ったり、子どもたちは自由にしています。動物もうろうろしてます。
もちろん締めるところは締めてます。
自由にしながらも、上の子が下の子の面倒を看たり、すぐに自分たちで役割を分担してなにかをやったりします。リーダーシップも育まれます。

そして、それぞれの事情があるにせよ、明るくオープンな雰囲気を持ってました。
施設の運営が優れているのもあるかと思いますし、タイでは微笑みを提供する事も徳を積むことになるのでそうしているのかもしれません。

訪問者がとにかく多い。
特に土日には、いろんな人が寄付にやってくるので、その対応で子どもたちは大忙しです。
あまりに沢山のグループが訪問してくるので、バッティングしないように時間を調整したり、子どもたちが疲れないように歓迎会とかアクティビティの内容を変更するなど、施設と話し合って当方のスタディツアーのプログラムを変更するなりと調整しました。

日本の施設もとても努力をしているのだと思いますが。
これらの違いってのは、人口密度が低く、土地代や建物の建築費が安いので大きな建物が使えることと、信仰が生きているところから発生しているのかと思われます。

信仰についてはそれぞれあるので、なんともしがたい部分はあるのですが。日本は建物をゆったりさせるだけでも、子どもたちが伸び伸びとしてゆくのではないかと思いました。

ここは、土地の提供はありますし、いろんな優遇策はあるのでしょうが、基本的に税金など公的資金は入っていません。
民間でお金が回る仕組みがあります。寄付文化はどのようにすれば日本に根付くのでしょうか。

さらに、この施設のすごいところは、施設を出た子が施設の運営側に入ってきていることです。
海外に留学して非営利団体のマネージメントを学び今は施設を運営する団体のボードメンバーになっている青年。この施設を立ち上げた方に憧れてバンコクの大学に行き、保育士の資格をとって、この施設が運営する幼稚園で保育士をしている女性。知的障害があり職業訓練とか頑張ったけど外で就職せず、この施設の職員として働いている子。その他にも、ここを出たけど、時々ボランティアで施設を手伝う子。最後のパターンは日本でもよくあるかと思います。などなど。

あくまでも、少ないサンプルの話で一般化できる比較ではないのですが、伸び伸びと子どもたちが成長できる場が広がってほしいです。

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