×

手編みの屋根1枚7バーツ(約25円)なのに商売になるわけ

手編みの屋根1枚7バーツ(約25円)なのに商売になるわけ

豪雨の中で撮影しました

ツナミクラフトのスタディツアーで訪問するタイ王国ラノーン県タレーノーク村での定番のアクティビティが、ニッパヤシの葉っぱで編む屋根づくりです。

ニッパヤシは熱帯や亜熱帯のマングローブや干潟など汽水域に生えるヤシの仲間です。写真では塩分が混じった水の中からいきなり生えているのがわかるかと思います。
葉っぱの長さは5~10メートルに達するのですが、そこから分かれた1メートルほどの長さの小葉を使って屋根をつくります。

材料は竹とニッパヤシの葉です。
竹は約1メートルの棒状割ったものと、編むために薄くしたものを使います。
ニッパヤシの葉を2枚とり、半分を重ねて竹の棒に沿って折り曲げます。そこに薄い竹をニッパヤシの葉に刺して裏まで通し、裏から表に出してきて、次の2枚のニッパヤシの葉を重ね、同様に葉に薄い竹を刺して編んでゆきます。
この作業は、地道ですが、瞑想を体験できそうな感じです。

初心者は10分か15分で編み上げることができます。
出来た!  しかし、これは1枚当たり7バーツ、日本円にすると約25円です。苦労の割に安い値段。
屋根は右の写真のように重ねて屋根に使うのですが、一つの東屋には300枚とか、家やバンガローなら700枚とか2000枚とかが必要となります。
この屋根は壁材にも使われていて風通しも良く快適です。

初心者が10分15分かかるものを、慣れた方は一日100枚ほど作る事が出来ます。つまり、1日700バーツの売り上げ。材料は近くのマングローブからタダで入手できます。材料代がかからないのでタイの最低賃金は一日300バーツの2倍は稼ぐことが出来ることになります。

村のすぐ裏からマングローブに行きニッパヤシを採取できる

ニッパヤシはマングローブに生えるので、内陸の人はこのニッパヤシの屋根を買うことになります。リゾートの雰囲気を盛り上げるためにニッパヤシの屋根の需要があります。この屋根はだいたい2.3年ごとに葺き替えるのでリピータとなります。

2.3年ごとに、いろんなのリゾート施設から数千枚という受注があります。波が強くて海に出られない日などを使って作業すれば決して高額ではないですが現金収入となります。

このニッパヤシの葉っぱは、屋根づくりの他に、紙巻きたばこの巻紙やカノムチャというお菓子にづくりににも使われます。

たばこの巻紙には、若い葉を使います。葉っぱはまず5メートルぐらいにまっすぐ伸びたのちに小葉が別れるという形で成長するのですが。まずまっすぐ伸びた状態で葉が別れていない若い葉っぱを使います。
この葉っぱはいくつもの若い小葉が重なり合っているので、それを一枚一枚剥がして、表面の薄皮をはぎ。くるくるっと巻いて2.3時間乾燥させます。それを伸ばして重ねて、長さを整えれば出来上がりです。
こちらも単価がそんなに高くないのですが、海に出ない人の現金収入となります。

カノムチャというお菓子作りには、ニッパヤシの葉の他にニッパヤシの蜜を利用した砂糖を使います。この砂糖は塩分を含んでいて、蜜を煮詰めた都合で塩キャラメルのような味になっています。ニッパヤシの砂糖は市場ではなかなか販売されていません。
この砂糖とココナッツの実の油脂の部分を削ったものともち米粉を混ぜたものをこねて、ニッパヤシの葉っぱで包み、炭火で焼いたら出来上がりです。

ニッパヤシは、この他に繊維を使ってカゴを編んだりとかもできるようです。
マングローブの恵みを使って、単価は決して高くないけど、村は貴重な現金収入を得ています。

このニッパヤシを使った屋根づくりやお菓子作りを体験をしたい方は、ツナミクラフトのスタディツアーにお越しください。

Share this content: