「永遠の凪を願う」トンガの海底火山噴火による津波に思う事
「被災地をつなぐさをり織り」を展示した「1.17『ツナミクラフト繋ぐ展』」が、あと2日となる2022年1月16日未明に太平洋沿岸に津波警報や注意報が発令され。夜中に避難をして不安な夜を過ごされた方。大学の試験が予定通り受けられなかった方など。みなさまにお見舞い申し上げます。
1960年のチリ地震の津波もそうだが、トンガという日本から離れた島国の海底火山の噴火の影響が、日本やアメリカに影響したのに世界中が驚いた。特にカリフォルニアで1.3メートルの津波が記録されたというのは、国際ニュースの格好の話題になり。日本でも久慈の1.1メートルをはじめ、かなりの広範囲で0.9メートルなど、1メートル近い潮位の変化がみられた。
トンガは南半球にある小さな島国ですが。なんやかんやで、ご縁がある国だったりします。ツナミクラフトとよくジョイントしていたブランドを立ち上げた方がトンガで幼少期を過ごしたことがあり。イベントで共同でブースを出していたら。見覚えのある男性がブースに来ていました。
なんで見覚えがあったかというと、桜の紅白ジャージを着ていた有名なラグビー選手だったからです。南半球の国から日本の高校や大学に留学し、日本のチームに所属をして日本代表として戦った選手でした。
トンガはイギリスの影響が大きいのと、体格が良い人が多いのでラグビーが強い。2019年ラグビーワールドカップで来日したときは、本来の力を出し切れず。札幌でラーメンを食べる自由行動がなくなってしまったらしいが。小さい国だが、すごい闘志とプライドを持っている。
そして、もう何週間かすると北京での冬季オリンピックですが。前回の平昌での冬季オリンピック、そして去年の東京オリンピックでも、トンガの正装としての上半身裸で入場したので話題になった。それも、小さな国ではあるが、すごい闘志とプライドを持っているのがわかる。
先日、和歌山県広川町の「稲むらの火の館」で展示をしていたとき、館長さんとなんとなくトンガの話題になった。100年とか昔の話ですが。トンガの王室の人が日本の漁船の製造技術に目をつけて、本州最南端の町「串本町」で漁船をつくり、トンガまで納品をしに行ったという。すごい大冒険だったそうです。
和歌山県は山と海が近く平地がすくないので、農業では食べるのが難しいので、家を継ぐ長男以外は、外に出て稼ぐ傾向があるそうです。湯浅で生まれた醤油が銚子に伝わったのは、漁業の技術を房総半島に伝えたことの延長上だったそうです。西に行ったグループは、漁場の開拓のために長崎県の五島列島に移住したりもしているそうです。
そうやって、行き来することによって、技術や情報が伝わる。トンガにも技術や情報が伝わっていたわけです。
17日まで神戸で 「被災地をつなぐさをり織り」を展示しますが。
「たて糸は被災地。よこ糸はみなさん。」というコピーをつけています。
私がなぜ、たて糸を被災地に作ってもらっているかというと。たて糸には、筋を通すという意味があるからです。経営という言葉の「経」は、縦糸を表す言葉で。お寺の行事を筋道をたてて営む言葉を、江戸末期から明治の人がManagementという言葉に仏教用語の「経営」をあてたそうです。
最近、昨年12月にフィリピンの台風被害のクラウドファウンディングが山のように立ち上がっていますが。その多くは、被害の実情という事実ではあるが、どこか「かわいそう」と思わせるニュアンスや、NGOや資金を提供する人が支援をしてやるという強者のポジションをとっているような表現がちらりと見えることがある。
災害は起きるが、復興の主人公は助けた人ではなく、住んでいる人なんです。そこに住んでいる人が、背筋を伸ばして生きることが大切で。たて糸をきれいに張るための知識と技術もいるし。強く張りすぎると切れてしまうし。弱く張ると布にならない。東日本大震災では、最初の1.2年復興に対してすごく頑張った方が自殺してしまうケースとかもあったが、強く張ると切れてしまうということです。一方で、切れてしまったら、結びなおすことで、たて糸として成立する。
だから、被災者が背筋を伸ばしてほしいと思っています。
また、地震や台風でおそろしい経験をしたけど、命が助かった、家は壊れなかった、でも、被害が大きな地域よりかはマシだから、なんとなく申し訳なくてと背筋を伸ばせない人がかなりたくさんいる。辛いと言えない人がいる。
だから、被災者ではなく、被災地という言い方にしている。
トンガの方はプライドが高い方たちだと私は思っています。今後、海底火山噴火による津波の被害が明らかになってくると思われるが。この災害に限らず、被害のあった地域や人々のプライドを大切にした報じ方をしてほしいと思っています。
横糸は、人の移動とか横に伝えることと考えています。横糸が行き来することにより。糸より布という丈夫で、いろんなものに使えるものになる。切れた糸の部分も布になれば模様になる。結び目があったほうが、人間味のある温かみのある作品になったりする。
織りあがったあと、水で洗うなど縮絨をすると、糸が引き締まりしっかりとした布になり、糸が切れたという事がわからなくなることもある。
海はいろんなものを伝える。津波もある場所のエネルギーを広範囲に伝えるものです。
これと同じように、成功事例も世界中に伝えることが大切かと考えています。
タイで出会った、マングローブの研究者とフェイスブックでちょっとしたやりとりをしたのですが。トンガでもマングローブの植樹や保全を行っていて。みんな良い奴だったと言ってました。スマトラ島沖地震による津波の時、マングローブは津波のエネルギーを弱めて、たくさんの命を救った。
おそらく、今回のトンガの海底火山噴火による津波のエネルギーをトンガのマングローブが緩和して、人に限らず、多くの命を守っていると思います。
災害というキーワードではあるが、良い経験が世界に伝わることが大切だと思っています。
トンガの海底火山の活動はいつまで続くかわかりませんが、被害に遭った地域のプライドを大切にしてほしいと思っています。
明日は、1.17そして、3月には3.11と4月には熊本地震と被災地の周年報道が続くだけに。
余談ですが。プーケットの津波慰霊碑に「永遠の凪を願う」と書かれているが。
鬼滅の刃の富岡義勇ではないが、凪は最大の防御なのかも。
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